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戎のいわしコロッケ


いわしコロッケ

焼き鳥戎の名物「いわしコロッケ」

 新しい土地に引っ越したら、一人でも行ける飲み屋を探す。何となく出掛けたくなったらいつでもそこへ行けるようにしておくのだ。「一人で飲むための席」「一人で過ごせる雰囲気」「時々話ができる店主」と条件が厳しいため、なかなか簡単には見つからない。最初の二つの条件が揃っても、バーテンダーがばんばん話しかけてきたりするとつい遠のいてしまう。
 さらに難しいのは最初の一歩だ。見えない店内へ、あるいは入った事の無い未知への空間へ続くドアは非常に重い。それを開くというのはある種の賭けだ。だから何日もかけて近所を自転車でぐるぐる回り、めぼしい店が見つかったら何度も店の前を通偵察したりする。
 果たして見知らぬ土地・東京にそんな店はあるのだろうか。東京砂漠なので新参者には厳しく、酒も出してくれないのだろうか。田舎者とバレた日にはいじめられるのではないだろうか。それならいっその事、飲みたい夜も膝を抱えて部屋でもんもんと過ごした方がいいのか。妄想は進んでいく。


琥珀エビス

琥珀エビスは味も濃く美味。
久々に缶ビールを買って帰る。

 焼き鳥の煙が西荻窪駅北口ロータリーにまで漂っている。焼き鳥・戎(えびす)。ガラス戸の先には手慣れた職人さんがリズムに乗って串をひっくり返している。みんなの楽しそうに飲んでいる声が外まで漏れている。すっと引き戸を開けると大きな声で「いらっしゃい」と迎えてくれた。促されるままカウンターに座る。隣の人を見ると文庫本を読みながら飲んでいる。ハッとして周りを見渡すと一人の客も多く、雑誌を読んでたり、物思いに耽ったりとそれぞれが思い思いのスタイルで飲んでいた。
 何となくカウンター越しに店員さんの効率の良い作業を見ながら飲んでいた。次々に盛られる料理に飛び交う酒のグラス。運び込まれては洗われ棚に戻って行く大量の皿。常連さんと時々声を交わしながらも動いている店員さんの手元。天井に反響する声。すべてが美しく、満たされてしまった。
 久々にじっくり飲んだなと思ってお勘定してもらうと、千円札からのおつりがきた。帰り道、誰もいないところで踊ってしまった。


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