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アレは例のアレだったのだ


青い玉

 2000年の夏、シンガポールからKと旅を一緒にする事になった。船でインドネシアの首都・ジャカルタへ向かい、バスとフェリーを乗り継いでバリ島に入り、サーファーに人気の高いクタに辿り着いてようやく長い移動は止まった。Kはバスからバックパックを引きづり降ろしてから、タクシー乗り場で車を待っている時に異変に気付いた。何者かがKのバックパックを開け、中からポーダブルMDプレーヤーを盗んでいたのだ。Kはガッカリして部屋に引き込みがちになり、何もしないまま数日が過ぎていく。太陽がさんさんと照りつける南国で、潮騒の聞こえるテラスで、紅茶とビスケットをやりながら日本の文庫本を読むという暗い日々が続いた。
 ある晩、いつものようにテラスで過ごしていたら、上空に星が輝いていた。が、それはぐいーんと右へ移動し、またぐいーんと上へ移動した。驚いたが、慌てずに、騒がずにふさぎ込んでベットで寝ているKを起こした。

ロボの足

 「K、星って動くんだっけ?」「はぁ!?」
 やれやれと言った感じで、のろのろとテラスの椅子に腰掛けKもまた夜空を見上げる。実に美しい南国の星空。その一角に光って、動いて、消えて、また現れてを繰り返す2~3の星(?)があった。僕もKも二十歳を超えていたし、Kはどう見ても夢見心地な性格ではない。案の定「いや…あれは違うって…」とアレをナニとも言わず、しかし興奮気味にそのナニかを否定した。
 「そうだよね、俺も違うとは思うんだけどさ、一応大の大人が複数で確認しておいた方がいいと思ってさ」「…そうだよな」
 と、Kはもはや否定しているのか肯定しているのかよく判らない状態でぼそりと答えた。
 一旦僕らは無言で部屋に戻って荷物をあさってから、再びテラスに戻り腰を下ろし、落ち着いて再びアレを見た。間違いなくさっきと同じような動きをしていた。
 僕もKもノートを開きペンを走らせた。日記のタイトルは当然「UFOを見た」だ。
 「K、何書いてんの?」「別に…」
 俺もKも判っていたのが、アレは例のアレだったのだ。


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