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エキサイティングラーメン その2

呪文は唱えられた

呪文は唱えられた

 突然思いついた様に店主が「どうしましょ!?」と奥のサラリーマンに向かって叫んだ。びっくりするのもつかの間、サラリーマンはさも当然といった顔で「コブタヤサイマシマシトウカラシオオメ」と一息で言った。「はいよ」と注文を受け取る主人。
 時間にして5秒間くらいだろうか、一体何が起ったのか分からず、薄暗い店内なのにフラッシュが焚かれた様に目の前がチカチカしてきた。そしてその数秒後には店主の奥さんらしき人が朱色の中華丼ぶりを両手で持ち上げてカウンター越しにサラリーマンへと手渡している。横から見るともやしがどんぶりの上にこんもり盛られ赤い唐辛子のパウダーで色付けされているのを確認した。
 店内にはそれらしいヒントが書かれたものは一切無い。


裏切りの「ふつう」

 不意に「なんにします?」と店主が僕らに聞いてきた。家人は「それじゃ、ふつうで」と涼しい顔で答えた。おいおい、さっき注文の仕方を忘れたと言っておきながらえらくスムーズに答えてるじゃないか!
 「そちらは?」本当は優しく聞かれているのだろうが、緊張と誇張された事前情報で店主の顔が「北斗の拳」に出てきそうな厳つい表情に見えた。「いかん、秩序が乱れる…」注文をされているのは僕ら2人だけなのに何が秩序だとは思いながらも圧倒されたあまり「じゃあ…同じで…」と喉の奥からやっとくぐもった声が出た。やった。これでやったのだ。そう思う反面、「ふつう」とは答えられず「同じで」と言った事を情けなくも思った。なぜだかは分からないがラーメン屋で。


第二波

第二波

 大仕事を終えたせいか安心して、油でよれよれになった「レモンハート」の単行本を読んでいると突然また店主から声をかけられた。「どうします?」
 急にさっきのサラリーマンと店主のやり取りの状況が蘇ってきた。そうだ、僕らの注文は終わったのではなく、まだ途中だったのだ。そう、僕らはあの呪文のような「コブタヤサイマシマシトウカラシオオメ」を唱えていなかったのだ。
 それにしてもなんで目的語が無いのだ!?
 どうする!?横を見ると家人も戸惑っていた。僕はつい握りこぶしを作っていた。
 「ふつうのラーメンでいいかい?」店主が助け舟を出してくれた。「あ、はい。それでお願いします」「にんにくととうがらしは?」「にんにくなしで、とうがらしをお願いします」
 呆然と2人を眺めていたら「そちらは?」と聞かれた。「あ、お、同じで。い、いや、にんにくは入れてください」
 またも「同じで」と言った事を情けなくも思った。なぜだかは分からないがラーメン屋で。


エキサイティング・ラーメン

 さて、非常にエキサイティングだったこのラーメン屋での出来事だったが、味の事は詳細に思い出す事が出来ないが、とにかくお腹いっぱいにはなった、510円で。帰り道、自転車をこぎながらお腹に感じるヘヴィーな感覚とあっという間に過ぎ去った強烈な出来事になにもかも打ちのめされた気分になった。今度行く機会がある前にはちゃんとネットで調べておこう。備えあれば憂いなし。



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